Nordic、2.4 GHzの無線通信距離を拡張させる nRF21540 Development Bundleを発売

nRF21540 Development Bundle

nRF21540フロントエンドモジュールの開発キットおよび評価キットで構成されるDevelopment Bundleキットにより、リンクバジェット・レイテンシー・消費電力の改善等のテストをより手軽に効果的に行える環境を提供

超低消費電力無線ソリューションのリーディング・プロバイダーであるNordic Semiconductor(OSE:NOD、以下Nordic)は本日、RFフロントエンドモジュール(FEM)nRF21540が実現する通信距離の拡張やリンクバジェットの向上を必要とするアプリケーションの検証・テスト用設計ツール、nRF21540™ Development Bundle(DB)の発売を発表しました。nRF21540 DBは、nRF21540開発キット(DK)とnRF21540評価キット(EK)で構成されています。

先だって発売されたnRF21540 RF FEMは、パワーアンプ/低ノイズアンプ(PA/LNA)製品であり、NordicのnRF52およびnRF53シリーズのマルチプロトコルSystem-on-Chip(SoC)を完全にサポートするために開発されました。ターゲットとなる用途は、2.4GHz技術を採用した場合に通信距離の拡張の恩恵を受ける用途、たとえば産業オートメーション、照明のメッシュネットワークその他のホームオートメーション、アセットトラッキング、ワイヤレスオーディオなどです。nRF21540 RF FEMには、ワイヤレス伝送の通信距離の拡張以外に、ワイヤレスリンクの堅牢性の強化、それに伴う無線パケットロスの低減、更には再伝送の必要性の低減というメリットがあります。パケットロスが減ることでリンクのレイテンシが低減するほか、再伝送が減ることでワイヤレスリンクのスループットが上昇し、電力消費も低減します。またRF FEMは、固定装置のリンクの堅牢性をさらに向上させるアンテナダイバーシティにも対応しています。

nRF21540 DBを活用することで、開発者がその検証を容易にできるため、nRF21540 FEMの機能や構成に慣れ、最終製品のアドバンテージを最高にものにすることが可能です
Paal Kastnes, Nordic Semiconductor

コネクションリンクバジェットの向上

nRF21540 RF FEMのPAには最大+21dBmまで細かく調整可能なTXパワーブースト機能を搭載しており、最大伝送電力に関する全世界全地域の多様な規則に1台で対応できます。ICのLNAは+13dBのRXゲインを実現し、わずか2.7dBという低い雑音指数(NF)によりNordicのSoCのRX感度を高めます。たとえば、1MbpsでBluetooth® Low Energy (Bluetooth LE)を実行中のnRF52840 SoCとnRF21540を組み合わせると、SoCのRX感度が5dBm上昇して-100dBmとなります。出力パワーの向上に伴い、コネクションリンクバジェットは18dBm上昇します。チップのTXパワーが+8dBm未満の他のデバイスでは、この数値がさらに向上します。コネクションリンクバジェットの向上により、RF FEMを搭載しない類似のアプリケーションと比較して通信距離が6~10倍にまで拡張されます。

nRF21540開発キット(DK)は、nRF21540 RF FEMが実現する通信距離の拡張を活かした設計のアプリケーション性能テストに最適なツールです。NordicのnRF52840 DK(nRF52840高性能マルチプロトコルSoCでの設計作業に用いられる従来のDK)をベースに作られたnRF21540 DKにはnRF21540 RF FEMが搭載され、アンテナダイバーシティのためのチップアンテナ2つとアンテナポート、RFの直接測定を行うための追加のSWFコネクタが付属しています。DKのRF FEMはオンボードのnRF52840 SoCに接続され、このSoCによって制御されます(SoCはBluetooth 5.3の全機能のほかにBluetoothメッシュ、Thread、Zigbee、独自仕様の2.4GHzなどのプロトコルをサポート)。nRF21540 DKには、USBでアクセス可能なオンボードのSegger J-LINKデバッガ、ユーザーによるプログラミングが可能な4個のLEDと4個のボタン、NFC-Aタグのアンテナコネクタ、電流測定ピンが付属しています。

簡易的な無線テスト

nRF21540評価キット(EK)は、nRF21540 RF FEMを組み込んだシールドで、簡易的な無線テストと開発に使用できます。Arduino Uno Rev 3ヘッダーピンを介して、nRF52 または nRF53シリーズSoCのアンテナ出力またはNordicの任意のSoC DKに接続可能です。nRF21540 EKに搭載されたnRF21540のゲインコントロール、アンテナ切替および操作モードは、Arduino Uno Rev3互換のヘッダー経由でアクセス可能なGPIOまたはSPI、あるいはその両方の組み合わせにより制御可能です。無線機器またはラボ機器への接続用SMAコネクタのほか、RF FEMのラボ機器接続用アンテナポートに接続するSMAコネクタが2つ搭載されています。

nRF21540 RFフロントエンドモジュール(FEM)は、nRF Connect SDK(ソフトウェア開発キット)と組み合わせて使用することが推奨されます。このSDKではマルチプロトコルサービスレイヤ(MPSL)のnrfxlibを介してnRF21540 DKおよびEKをサポートしており、このライブラリでGPIOスイッチングモードをサポートしています。nRF21540 RF FEMを他のデバイスとの組み合わせで使用することも可能ですが、このドライバサポートにより、NordicのSoCと組み合わせた方がより使いやすくなります。

NordicのテクニカルマーケティングマネージャーであるPaal Kastnesは次のように述べています。
「nRF21540 RF FEMの搭載によって、ほぼ確実に通信距離を拡張し、NordicのnRF52やnRF53シリーズSoCといった互換性のある2.4GHz無線機のリンクバジェットを向上しますが、その最大限のメリットを得られる設計が開発者側で保証できるかどうかは難しいところです。nRF21540 DBを活用することで、開発者がその検証を容易にできるため、nRF21540 FEMの機能や構成に慣れ、最終製品のアドバンテージを最高にものにすることが可能です」

nRF21540 DBはNordicの販売パートナーより希望小売価格85米ドルで購入可能となっています。

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